キレイ・ライフスタイル(旅)

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水のこと 水の国、わかやま。
       写真・内山りゅう

 和歌山の「水」に魅せられ、本当の「水色」を追い求める写真家の内山りゅう氏。

 内山氏は、水に関わる生き物やその環境の撮影をライフワークにしており、とくに淡水にこだわり国内や海外の水を取材してきた。そして、魅力のある水と景観が多い和歌山に、当時住んでいた東京から通いつめ、ついに1999年に和歌山県に移住。

 和歌山県の日置川水系、熊野川水系、古座川水系などに分け入り、水の無限の表情をとらえた写真集「水のこと」を出版(3月22日発売)。

 今回は、写真集の中からいくつかピックアップして、和歌山の自然の水の美しさをご覧いただければと思います。

 蒼い渓谷 山深い渓谷に太陽の光が射し込む。陽の光が水底に反射し、その辺りだけが蒼く染まった。5月 日置川水系安川渓谷

 水が美しいということは、「水の循環」が健全であることを意味している。和歌山県は多雨であり、また、総面積の7割を山地が占めており、豊かな森が存在する。源流から海までの距離が短く、山塊が海岸まで迫る南部では、山に降った雨が集まり川となり一気に流れ下る。川の勾配が急であるため、水は淀むことがなく、そのまま海に注がれる。海からは大量の水が蒸発し、やがて雲になり地上に雨を降らせる。こうした良好な「水の循環」が和歌山の豊かで美しい水を支えている。

 私が水を撮るとき、もっともこだわっているのが水の透明度だ。水は雨が降っただけでも白っぽく濁る。水は様々なものを溶かし込むため、落葉などから染み出る色素や微細なシルトなどでも色がつき濁る。また、淡水は人々の生活の影響を受けやすく、容易に汚れる。水はクリアであればあるほどわずかな要因で濁りが目立つデリケートな物質だ。透明度が高いクリアな水では、水に入って流れを水平に見ると、水面近くに「水色」が広がって見える。この色は、透明度の相当高い水でしか見ることができない特別な色だ。私は、この色が本当の「水色」ではないかと思っている。

 和歌山には美しく豊かな水がある。水は人々の暮らしや文化、信仰にも深く溶け込んでいる。この写真集では水文化にもカメラを向けている。豊かな水に育まれた歴史や継承された文化は心をひく。

 美しい水の国、和歌山が、これからもずっと美しいままであることを強く願う。

 

〜写真集「水のこと」『あとがき』より〜

 県内でも県南部は特に雨が多い。降雨は「水の循環」においてとても重要だ。水は、降雨による他は再生できない。

 

8月

日置川水系安川

渓畔林

渓畔林

 渓谷沿いの森林を渓畔林という。渓畔林が発達している渓谷は、木々が水面を覆い昼間でも暗い。

 

5月

熊野川水系大塔川

春の渓流

 春、ツツジの仲間が花を咲かせる。渓流の水は冷たく水の中も静かである。これから徐々に水温が上がり、水の中は賑やかになっていく。

4月

日置川水系安川渓谷

一筋の光

 薄暗い淵に潜っていると、一筋の光が差し込んできた。暗い場所に目が慣れると、わずかな光でも明るく美しく見える。

 

8月

日置川水系安川渓谷


オイカワの群れ

 冬、川の本流よりも水温が高く流れが緩やかな支流に沢山の魚が集まることがある。水中の群れは、シンメトリーに水面に映った。

1月

富田川

釣り人

 県の名勝であり、天然記念物である滝の拝は、8mの落差のある渓流瀑。トントン釣りは、カラ針で鮎を引っ掛ける地元の釣りである。

6月

古座川水系小川

泡沫

 激流を水中から見上げる。水の勢いでぶれないようにカメラをホールドする。こうした撮影にはかなりの体力が要求される。

8月

日置川水系安川渓谷

紅葉

水中から紅葉が見える。鮮やかな朱色は、水中からでもよく映える。

11月

日置川水系安川渓谷


写真集 「水のこと: 水の国、わかやま。」

 

 淡水世界の撮影をライフワークとする写真家が、和歌山県の日置川水系、熊野川水系、古座川水系などに分け入り、水の無限の表情と土地の力をとらえた極上写真集。

 

定価:本体2,500円(税別)

講談社エディトリアル

 

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内山 りゅう(プロフィール)

 1962年東京生まれ。写真家。東海大学海洋学部水産学科卒業。
 淡水世界をフィールドとし、そこに生息する生き物とそれらを取り巻く環境の撮影をライフワークとする。
 1999年、美しん水環境を求めて和歌山県に移住。写真集や図鑑、写真絵本などの創作活動を続けている。
 自然や生き物に関するテレビ番組の制作・出演も多く、環境学習会や講演などを各地で行っている。
 平成22年度和歌山県文化奨励賞受賞。


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