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『麗しきバーテンダーたち』
  「BAR Day Cocktail」 石井樹々生さん

 BAR評論家の「たまさぶろ」さんが、著書「麗しきバーテンダーたち」からピックアップした女性バーテンダーをご紹介。素敵なバーの雰囲気も含めてご紹介いたします。

石井樹々生さん

 「夏雲(なつぐも)」は、石井樹々生(いしい・ななお)さんが亡き甥をモチーフにして作ったオリジナル・カクテルだ。

 

 甥っ子を思い浮かべると、もくもくと湧き立って元気の良い真っ白な夏雲と重なった。その純白を引き出し、夏らしさを加えるためにトロピカルヨーグルトリキュールを選んだ。彼の優しさをイメージしてバニラフレーバーウォッカを組み合わせた。その意図が体現され、盛夏の雲を想起させるカクテルに仕上がった。ちょうど一周忌にあたる2010年7月のヨコハマカクテルコンペティションに出品した。

 

 横浜・本牧のダーツバーなどに通い、酒の愉しさには気付いていた。バーテンダーは、挑戦してみたい仕事の一つと思い描きながらも、クラブに出勤していた。そんな折、「ずっと続けられる仕事は何か」と自問。年齢的に少し遅いだろうかと躊躇しながらも、ネットで見付けた求人に応募した。関内の女性バーテンダーだけのバーだった。

 

 当初は、修業と呼ぶより、実践あるのみ。ただ、この仕事が楽ではないことを知った。重い仕入れ品を運び、トイレ掃除、立ち仕事、むくみも酷い。イメージとは大きなギャップがあった。それでも客との距離が近く、それまでの飲食業とは全く異なる愉しさを見いだし、自分の世界が広がっていくのを感じた。

 

 勤めていたバーの店長の引退と同時に、自らも辞すことに。あるバーで当の店長と呑んでいると、現オーナーの佐藤健太郎さんを紹介された。本格的な一歩を踏み出すきっかけだった。

 

 佐藤さんは、先のコンペでグランプリに輝いたバーテンダー。あの日、石井さんの姿を見に来た両親は、「格好いい」と泣いたという。これまでの職業の中で、初めて彼女を認めてくれた瞬間だった。

 

「一日の終わりに、やり切った、自分も愉しかった、と思えるよう心掛けている」と、上を向いて語る姿が凛々しい。

 

 取材の帰り際、「夏雲」を口にすると、ミルキーでありながら、甘酸っぱさで胸の痛くなる……そんな味がした。



単行本「麗しきバーテンダーたち」

女性バーテンダーの半生を描いただけに、女性にこそ読んで欲しい一冊です!

 



BAR DAY Cocktail(バー・デイ・カクテル)

神奈川県横浜市中区常盤町4-52 文乃家ビル4F

TEL: 045-633-6308

エッセイスト たまさぶろ

元CNN 、BAR評論家、エッセイスト

東京都渋谷区出身。立教大学文学部英米文学科卒。週刊誌、音楽雑誌編集者などを経て渡米。NYUにてジャーナリズム、創作を学ぶ。同大「F STOP」写真賞受賞。CNN本社にてChief Director of Sportsとして勤務。帰国後、毎日新聞とマイクロソフトの協業「MSN毎日インタラクティブ」をプロデュース。既存メディアとウェブメディアの融合を日本で初めて成功させる。訪れたことのあるバーは日本だけで1000軒を超える。昨年は、城アラキさんとの初トークショーを敢行。2015年6月1日、女性バーテンダー讃歌・書籍『麗しきバーテンダーたち』発売。

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